運転者の酒気帯びの有無の確認をアルコール検知器を用いて行うことが義務化されました。
安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックにアルコール検知器を用いることが義務化されます。
2022年4月1日より施行された改正道路交通法施行規則により、安全運転管理者に対して、運転者の酒気帯びの有無(アルコールチェック)を目視で確認することが義務付けられました。
また、2023年12月1日からは、目視での酒気帯び確認のほか、下記の対応が必要になります。
- 運転者の酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うこと。
アルコール検知器に必要な性能について、「呼気中のアルコールを検知し、その有無又は濃度を警告音、警告灯、数値等で示す機能があれば足ります。」とされており、測定結果を赤色や青色などの光で表示する検知器であっても、酒気帯びの有無を確認できるものであれば、問題ないとされています。(和歌山県警察本部交通部交通企画課:安全運転管理者等による 酒気帯びの有無の確認Q&A 問22 問23)
酒気帯びの有無の確認を行うタイミングについて、運転を含む業務の「開始前や出勤時」及び「終了時や退勤時」に確認を行うもので、個々の運転の直前又は直後に、その都度行わなければならないというものではありません。(和歌山県警察本部交通部交通企画課:安全運転管理者等による 酒気帯びの有無の確認Q&A 問3)
(2)アルコール検知器を常時有効に保持すること。
常に正常に作動し、故障がない状態で保持しておくことをいい、メーカーの取扱説明書に従って適切に使用、管理し、定期的に故障の有無を確認しなければならないとされています。(和歌山県警察本部交通部交通企画課:安全運転管理者等による 酒気帯びの有無の確認Q&A 問26)
●アルコール検知器で酒気帯びと判定された場合の対応について
1 当日の業務について
➀酒酔い運転の場合
酒酔い運転とは、身体に保有するアルコール量にかかわらず、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態の人をいいます。(罰則:5年以下の懲役又は100万円以下の。(大阪府警察:Q1 酒酔い運転と酒気帯び運転の違いは何ですか)
酒酔いの場合、当然、自動車運転の業務に従事させることはできません。加えて、懲戒処分の検討を行う必要があります。
②酒気帯び運転の場合
酒気帯び運転とは、身体に保有するアルコールの程度が、呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上、又は血液1ミリリットル中0.3ミリグラム以上の状態の人をいいます。(罰則:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金)(大阪府警察:Q1 酒酔い運転と酒気帯び運転の違いは何ですか)
酒気帯びの場合、他の業務に従事することができる場合(いわゆる総合職の営業社員等)は、他の業務の従事させることも一案です。自動車運転の業務に限定している等、他の業務に従事させることができない場合には、年次有給休暇の取得を促すことが現実的でしょう。
ただし、アルコール検知器で反応があった場合でも、まずは、飲酒の事実の確認を行う必要があります。飲食物や喫煙等の影響によりアルコールが検知されている可能性があるためです。出勤前の食事、検査前の喫煙等にも注意を払うよう、従業員に対し、促すことが重要になります。
2 懲戒処分について
➀酒酔い運転の場合
企業のレピュテーションリスク、刑事責任を追及される可能性等の懸念がありますので、懲戒処分の対象となり得ます。「酒酔い運転」として懲戒処分の対象となる行為について、あらかじめ就業規則に明記し、労使間でトラブルが生じないようにしておくことが重要です。
②酒気帯び運転の場合
懲戒処分、特に懲戒解雇とすることは、慎重に検討する必要があります。懲戒処分の相当性について、「職種、酒気帯びの程度、現実に酒気帯び状態で勤務に就いたか否か、使用者側に信用失墜等の実害が生じたか否か、反省の有無等、過去の処分歴や余罪の有無‧内容などの事情を総合して判断すべき。」とされています。(JR東海事件(東京⾼裁 平25.8.7判決))
※関連リンク
〇(和歌山県警察本部交通部交通企画課:安全運転管理者等による酒気帯びの有無の確認Q&A)https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/02_koutsu/oshirase/ankankenty/documents/qanda%20.pdf
〇(大阪府警察:Q1 酒酔い運転と酒気帯び運転の違いは何ですか。) https://www.police.pref.osaka.lg.jp/sodan/faq/3/10/3233.html